「釣った魚を自分で捌けるようになりたいな〜」と思っている方は多いのではないでしょうか?
魚を捌くのはとても楽しいですし、言うまでもなく釣りと相性が抜群の趣味です。
今までは釣るだけ釣って、魚は奥さんに丸投げしていた方も「三枚におろして皮も引いてあるから、明日の夕飯にでも使って!」と言えれば、奥さんも喜ぶこと間違いなしです!
この記事では、これから魚の捌き方を覚えたいという方へ、調理師の資格を持つ筆者がたくさんの画像を使用して丁寧に解説します。
※なお6,000字を超える長文のため、文章を読み飛ばしてスクロールして画像だけ追って頂いても、捌き方を覚えられるよう構成しています。
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目次
魚の捌き方を覚えたい!どんな魚で練習するのがベスト?
魚の捌き方を覚える際、練習する魚はとても重要です。
例えば、イワシ・サヨリ・ウナギ・ハモなどの魚は、魚の捌き方の基礎を学ぶのに適した魚とは言えません。
それぞれに適した捌き方が存在しますが、どれも応用編の魚達なので、基礎を覚えてから取り組むのがベストでしょう。
それでは、一体どんな魚が捌き方の基礎を覚えるのに適しているのでしょうか。
【結論】魚の捌き方を覚えるには真鯛がおすすめ
真鯛が魚の捌き方をマスターするのにおすすな理由は以下の通り。
- 魚の基本であるシルエットが捌きやすい
- カマや頭など全ての部位を捨てずに料理に使える
まさに魚の捌き方をマスターするには最高のお魚なので、小さすぎず大きすぎない35cmほどの真鯛を何匹か準備して練習するのがおすすめです。
しかし、真鯛で捌き方を練習するには「高級魚」であるがゆえ「すぐに手に入らない」「釣ろうにも気軽に狙える魚ではない」「値段が高く購入できない」といった課題も。
真鯛と同様に捌きやすい黒鯛がおすすめ
真鯛はなかなか手に入りませんが、真鯛とシルエットが似ており、味も美味しく比較的手に入りやすい魚が「黒鯛」です。
黒鯛なら、磯や波止めなど、外海に面したポイントで狙って釣れる魚ですし、真鯛に勝るとも劣らない食味の良さを兼ね備えています。
また、自分で黒鯛を釣らなくても意外にも市場やスーパーに出回っており、価格も真鯛の1/3〜1/5程度。
手に入りやすい魚のため、捌き方の基本を覚えるには最適なお魚です。
筆者は、港湾部で釣った黒鯛を捌いて食べたことがありますが、食べられないことはないけれど少しにおいが気になりました。
磯や波止めなど外海に面しイワシなどを捕食している黒鯛が食味は優れています。
捌き方をマスターしたいからと言って「美味しくないな」と思いながら食べるのは、魚に対しても大変失礼なことですので、痩せた魚やにおいが気になる魚体の場合には、優しくリリースしてあげましょう。
【準備編】魚の捌き方入門!包丁以外専用の道具は要りません
洗って立てかけてある食器や、フルーツやシリアルなど、キッチンに出ているものを全て戸棚にしまうかダイニングテーブルや冷蔵庫の上に避難させましょう。
ウロコをとる際に、あちこちに飛んでしまうためです。
こびりついたウロコは洗ってもなかなか取れないので、この作業を怠ると、後々自分の仕事を増やしてしまうことになります。
出刃包丁
魚をさばくのに、最も重要と言える道具が出刃包丁です。
小さな魚をさばく際は、ペティナイフで代用可能ですが、ある程度の大きさの魚を捌く場合は出刃包丁が必要。
ちなみに初めて購入するのであれば、刃渡り150mm前後のものがおすすめです。
柳包丁(刺身包丁)
柳包丁は、別名「刺身包丁」とも言います。
その名の通り、刺身をひくための包丁のこと。
出刃包丁に比べて使用頻度は低いですが、魚の皮をひく際に必ず必要になる包丁です。
こちらは初めて購入するのであれば、刃渡り270mm前後がおすすめです。
まな板
まな板は、できるだけ大きなものを使用しましょう。
というのも、魚が収まりきらないような小さなまな板を使って魚をさばくと、作業がしづらいばかりか、ケガの原因にもなるからです。
ただ、15センチの魚をさばくのに、1メートルのまな板は流石に大きすぎですし、大きいまな板は洗うのがかなり大変です。
魚の倍ほどの大きさのまな板がちょうどいいと覚えておきましょう!
魚を捌く場合には、まな板の安定感も必要で、あまりにも軽すぎるとまな板がふらつきケガの原因にもなりかねません。
魚用のまな板を選ぶ際には、厚みと重量のある業務用がおすすめです。
▼ご家庭で魚を捌く際も最適!業務用まな板
タオル(最低3枚用意しましょう)
魚をさばく際は、最低3枚きつく絞ったタオルを用意しておきましょう。
1枚は適度な大きさに畳んで、まな板の下に敷きます。
魚をさばいている際に、まな板が滑って動いてしまうのを防ぐためです。
次に、もう1枚は洗ったまな板や包丁を拭くために使います。
このタオルには、ウロコや血がついてしまわないように意識して綺麗に保ちましょう。
最後の1枚は、作業中にまな板や包丁、魚からの水気や血、ウロコを拭うために使います。
この1枚は、作業中にも汚れがひどくなってきたら軽く流して絞り直すようにしましょう。
特に、ウロコがついた状態で作業を進めると、タオル経由であちこちにウロコがついてしまうので、注意が必要です。
道具は徐々に揃えていきましょう
他にも、ウロコ取り・ささら・骨抜きなどいくつか専用器具がありますが、なくても対応可能です。
専用の包丁やまな板ももちろんですが、こういった道具も徐々に揃えていけばOKです。
最初は、自宅にある道具でトライしても大丈夫ですよ。
【実践編】魚の捌き方入門!
準備編を長々と説明してしまいましたが、準備ができればもう半分終わったようなものです。
ここからは画像を中心に、わかりやすく捌き方を解説していきます。
ちなみに、撮影は筆者がドイツ在住なため、ヨーロッパクロダイで撮影しています。
水温が低い海の魚なので、日本のクロダイに比べて、少し丸っこくて脂が乗っていますが、基本的なところは何も変わりません。
気にせずに見ていただければ幸いです。
下処理
まずは下処理から始めます。
ウロコや内臓を洗い流しやすいように、シンクの近くにまな板を置いて作業しましょう。
ウロコを取る
まずは、包丁の刃先を立てて、ウロコを剥がしていきます。
このようにほうきで床をはくように、優しくとっていきましょう。
ちなみに、ウロコ取りがあると作業がかなり楽になります。
割と安いですし、なかなか壊れるものでもないので購入しておいても損はありません。
こういったヒレの間や
腹の部分、
ヒレの裏などは、ウロコを取りこぼしやすいので丁寧にとりましょう!
一通り剥がし終わったら、一気に水で流しましょう。
シンクが広い場合は、シンクの中にまな板を突っ込んで、少し水を当てながら作業するとウロコが飛び散るのを防ぎながら作業できます。
エラ・内臓を取る
次に、エラ・内臓を取るステップですが、1度ウロコを水で流しまな板・包丁・魚をタオルで拭いて、作業しやすいようにまな板の上を整えましょう。
まずは、エラブタを開いて包丁を突っ込み、エラを剥がしていきます。
反対も同じようにエラを剥がします。
最後に、根元の部分も剥がして、エラと胴体を完全に切り離してしまいます。
次に、肛門から包丁を入れて、胸の方に切り開いていきます。
お腹を完全に開いて、先ほど剥がしたエラと内臓を一緒に取り出します。
このとき、胃や腸を潰してしまうと臭いので、エラ側から内臓にはあまり触れずにゆっくり剥がすのがオススメです。
エラ、内臓を完全に取り出し終わった状況です。
軽く水で流したら、タオルで水気を拭き取りましょう。
魚に直接水を当てすぎると、すぐに身が水っぽくなってしまうため、内臓を取るときでも魚に当てる水は極力最小限にとどめましょう。
頭を落とす
内臓を取り終わったら、次は頭を落としていきます。
頭はこの角度で落としましょう。
頭やカマを食べない魚は、ヒレのギリギリでカットして頭側に身を残さないようにしますが、クロダイの頭やカマはあら炊きにすると美味しいため、適当にカットして身が残っても大丈夫です。
反対側も同じ角度でカットします。
この程度のサイズであれば、中骨は出刃包丁の根元でコンと叩くと簡単に切れます。
サイズが大きい場合は、中骨の関節に包丁を突っ込んで体重をかけると切れます。
これで、頭を落とした状態が完成しました。
この時に、内臓があった部分に残っている血合いを掃除しましょう。
本来は、頭を落とす前に、「ささら」という専用の道具を使って掃除するのですが、ささらは魚の臭いが付きやすく、台所においておくだけで少し臭いので、そんなにしょっちゅう魚をさばかないのであれば、歯ブラシで代用すればOKです。
きちんと磨くとこんなに綺麗になります。
ちなみにこの黒いものは、全て血です。
放っておくと臭いの原因になるので、しっかりと掃除しましょう。
三枚おろし〜切り身まで
ここまでで下処理の段階は終了です。お疲れ様でした!
ここから先は、直接身に触れるため、1度包丁やまな板を洗ってウロコや血を流してしまいましょう。
三枚おろし
三枚おろしは難しく思われることが多いですが、慣れてしまえばさほど難しいものではありません。
また、うまくできずに骨に身がたくさん余ってしまったとしても、先ほども少し触れた通り、クロダイの場合はあら炊きにして美味しく食べることができるので、勿体無く感じる必要はないですよ。
腹側の青線ラインに切れ目を入れ、骨に刃先を感じながら、包丁を中骨まで進めていきます。
中骨の盛り上がった部分に、包丁の刃先がコンと当たるまで進めて止めましょう。
次に、背中側からも、青いラインに沿って切れ目を入れ、包丁を中骨まで進めていきます。
最後に、頭側から尻尾に向けて、中骨から剥がすように包丁を入れ、接着面を剥がしていきます。
これで片面が完成しました。
反対の面も同じ要領で行います。
これで三枚おろしの完成です!
三枚おろしに関しては、魚によって骨の入り方も違うので、ある程度数をこなして慣れるまで、どうしても骨に身がついてしまったり、うまくできないことが多いと思います。
最初はみんなうまくできないので、がんばってたくさん練習しましょう!
腹骨すき
これで三枚おろしは完了ですが、スーパーで売っている切り身の状態にするには、まだいくつか作業が残っています。
まずは、腹骨をすかなくてはいけません。
人間でいう肋骨なので、曲がっていて、まっすぐ切り落とすことはできません。
なので、この角度から包丁を入れます。
このように、上の骨に包丁の刃先を当てながら、骨をすいていきます。
一見簡単な作業ですが、焦って作業すると、手を切ることが多い作業なので注意しましょう。
中骨すき
次に、中骨をすいていきます。
青のラインが、中骨が入っている位置です。
この部分をすき取るように、背中と腹を切り分けていきます。
中骨を避けて、背中側とお腹側に分離しましょう!
腹側を切るときに、指を切りやすいので注意が必要です。
このときに中骨の周りに、ある程度身がついてしまっても、この部分もあら炊きにすると美味しいところなので、問題ありません。
これでいわゆる「四分一」の状態が完成しました。
切り身を皮付きで料理に使う場合はこれで終了です。お疲れ様でした!
皮引き
皮を使わない場合は、ここから最後に皮を引く必要があります。
もう一歩で終わりなので、頑張ってください!
まずは四分一になった切り身、柳包丁、キッチンペーパーを準備します。
まずは切り身の尻尾側の端っこをキッチンペーパーでおさえます。
次にできるだけ身を無駄にしないように、キッチンペーパーでおさえているギリギリのところに包丁を突き立てます。
このときに、
このように刃が浮いてしまうと、皮が綺麗に引けないばかりか、手を切ってしまいます。
刃は浮かすことなく、このようにピッタリとまな板に密着させて皮を引きましょう。
突き立てた包丁を寝かし、包丁にしっかりと皮を噛ませた状態で皮をひっぱっていきます。
このとき、包丁の刃先側に空間を作るようにして、まな板の端っこから作業すると作業しやすいです。
このまま、刃をぶらすことなく一気に引いてしまいましょう。
皮の下の皮下脂肪、銀色の皮の組織が残っていたら、綺麗に引けた証拠です。
切り身完成!お馴染みのスーパーで販売されている状態になりました
お疲れ様でした!
これで完全にスーパーで売っている状態になりました。
解説を見ながら作業すると長く感じるかもしれませんが、慣れれば作業自体は15分もあれば完了します。
釣った魚をここまでできれば、奥さんも喜ぶこと間違いなしです!
一度冷蔵庫で寝かせるのがオススメ
ちなみに、作業後は少し冷蔵庫で寝かしてやるようにしましょう。
このまま調理すると、刺身にするにしても冷えておらずぬるいですし、煮付けや焼き物にするにしても、さばいた直後は身が反ってくるのでとても使いづらいです。
具体的には、釣ってきたその日に作業したとすれば、次の日の夕方頃まで一日寝かせるのがオススメです。
【悲報】後片付けが一番大変です!きちんと掃除しないと家族に嫌われます…
さて、これで全ての作業が完了しました!
あとはお風呂に入ってビールでも…と言いたいところですが、残念ながら後片付けが残っています。
具体的には、さばいた魚を冷蔵庫にしまい、まな板と包丁を洗い、キッチンに飛び散った鱗や血をタオルで綺麗に拭き取らないといけません。
また、調理に使ったタオルを綺麗に手洗いし、キッチン全体に消臭スプレーを吹きかけ、避難させていたものを全て定位置に戻し、魚の入ったゴミをその日のうちに出して完了です!
非常に面倒臭い作業ですが、この作業を怠ると家族全員に嫌われます。。
踏ん張りどきです(笑)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事に使用している画像は、実際に筆者が調理しながら順序通り撮影したものなので、文章を読み飛ばしてスクロールして画像だけ見ても、それなりに参考になると思います。
クロダイの捌き方を覚えれば、他の魚は、「これはクロダイの小さいバージョンだな」とか、「これはクロダイの細長いバージョンだな」というように、ほとんどの魚がさばけるようになりますよ!
なにより自分が釣った魚を刺身にしたり、煮付けにして食べたら格別ですし、家族も喜ぶこと間違いなし。
ぜひ、釣りだけでなくお魚を美味しく捌く方法もマスターしてみましょう!
▼美味しく魚を捌くのに最低限必要な道具
▼あればなお良い「ササラ」なくても歯ブラシで代用OK
▼黒鯛の捌き方をマスターすればアジも簡単に捌ける!