渓流釣りや源流釣りが好きな方には、用水路のような人工物で釣りをするのは、あまり気が乗らないという方も多いかもしれません。
しかし、意外にも用水路だからこそ、渓流釣りや源流釣りで大切なポイントへのアプローチや取り込み場所の選定など学べることも多いもの。
ここでは、延べ竿で楽しめる用水路のイワナ釣りの魅力や、釣れる用水路の見つけ方、用水路フィッシングで気を付けるべきポイント、最後にイワナの源流釣りでも応用できるタックル選びについてご紹介します。
実釣レポートと共にお届けしますので、ぜひご覧ください。
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目次
用水路でイワナ釣り!その魅力とは
源流釣りや渓流釣りとは異なる魅力のある用水路。用水路ならではの魅力をご紹介できたらと思います!
気軽に釣りが楽しめる
用水路の場所にもよりますが、今回釣行した用水路は、民家も近く農家さんの畑のそばにあります。
渓流釣りや源流釣りですと、ウェーダーやバックパックなどそれなりの装備が必要ですが、今回のような場所は、車で乗りつけてそのままエントリーできるから本当に気軽。
ウェーダーの代わりに、長靴だけ用意すればアクセスできます。
用水路でも、人里離れた山奥に存在する場合もありますが、意外にも身近な用水路で十分イワナ釣りが楽しめちゃいます。
第一投で釣果が分かれるエキサイティングゲーム
イワナが狙える用水路では、クリアウォーターで目視で魚影が確認できることも。
用水路というフィールドだけにピンスポットで仕掛けを打ち込む必要があり、人の気配を察知されるとすぐさま警戒され場荒れしてしまいます。
『用水路=簡単』というイメージを持つかもしれませんが、水量・水質・周囲の状況によっては、とてもシビアで攻略しがいのあるフィールド!
一投でヒットすることがほとんどなので、一投目から全神経を集中させます。
未開拓のポイントが多く思わぬ大物と遭遇するかも
渓流釣りや源流釣りと比較してマニアックな用水路の釣り。
それだけに、未開拓なポイントも多く、この日も藪をかき分けエントリーしたポイントに、目測35〜40cmはあろう大イワナが。
渓流釣りでは味わえない驚きや発見の連続です。
意外!用水路のイワナ釣りで渓流釣りの基本が学べる
用水路は気軽にエントリーできますが、意外にも渓流釣りの基礎基本が学べます。
ポイントへのアプローチは慎重に
イワナが釣れる用水路は、クリアウォーターで水量が少ないことも多く、ポイントへ雑にアプローチしてしまうとすぐさま魚に警戒されます。
まるで忍者のごとく、身をかがめて、慎重にアプローチしましょう!
この日も下流側から慎重にポイントを見極め、ゆっくりと延べ竿のズームを伸ばし、気配を悟られないようにエントリー。
延べ竿のイワナのアタリが理解できる
延べ竿でヤマメ釣りをする場合、アタリ=即アワセが基本ですよね。
しかし、イワナ釣りの場合、即アワセだと食いが浅くヒットに至らないことが多いです。
ヤマメはその場で餌を捕食しますが、イワナは餌を咥えると住処に持って帰ってから捕食するのか、用水路ではしばしば横にすーっと目印がスライドするアタリが出ることが多いです。
このスライド中にアワセることで、ガッチリと針がかかります。
用水路ならではのアタリかもしれませんが、イワナのアタリの出方を学ぶと、ヤマメ釣りとの違いなども理解できるため、おすすめです。
その他、延べ竿でイワナを釣る場合にはやや重めのガン玉を使用するなど、コツがあるのですが、それはまた別記事でご紹介できればと思います。
チョウチン釣りの基本が学べる
源流部でイワナ釣りをする際に、多用する「チョウチン釣り」という釣法。
竿の全長よりも、仕掛けを極端に短くし、その光景がまるで提灯を竿にぶら下げているように見えることから、その名が付いたと言われています。
チョウチン釣りは、藪が生い茂る釣りづらいポイントでも、仕掛けが短いことからピンスポットで打ち込めることが最大の特徴。
この特徴をいかして、源流部だけでなく、画像のような用水路でも応用できます。
用水路は、チョウチン釣りを身近で覚えるにも最適です!
イワナが釣れる用水路の見分け方
身近に渓魚が釣れる用水路なんてないよという声が聞こえてきそうですが、意外にもイワナやヤマメが生息する河川があれば、渓魚が釣れる用水路を見つけるのは難しくありません。
渓魚が生息する河川からの分水
分水とは、同一の水源などから新たに水路を引いて灌漑や生活用水を確保すること。
今回釣行した地域でも、河川から直接分水し、用水路を通して農地に水を確保しています。
用水路の目的は、灌漑・生活用水・上水道などの水を引くために造られているので、もともとは河川や湖、ダムから水を引いているわけです。
ですので、用水路の同一水源である河川や湖、ダムに渓魚が生息していれば、高確率で用水路にもイワナやヤマメが居着いています。
普段釣行している河川のすぐ近くにも、用水路があるかもしれません。
ぜひ確認してみてください。
用水路の上流にダムや池がある
用水路の上流部には、場合によってダムや池がある場合も。
渓魚が生息するエリアで、用水路の上流部にダムや池がある場合には、台風などで大水が出た際に、用水路にイワナが流れてくる可能性が高いです。
また上流部にダムや池がある場合には、イワナが大型化している可能性もあり「こんな用水路になぜ」といった場所で40cm前後のイワナを目撃することも。
ぜひお近くのダムや池の周辺に用水路があるかも確認してみましょう。
【実釣レポート】いざ用水路のイワナ釣りの世界へ
筆者自身、用水路の渓魚釣りにはまりだしたのは、中学生のとき。
自転車で気軽に通える用水路の釣りは、身近でエキサイティングな釣りでした。
あれから十数年が経過し、車で様々な釣り場に通うようになってからは、用水路からも縁遠くなっていましたが、ここにきて、あのとき通った用水路は今どうなっているだろうと頭をよぎるように。
今回は、筆者の原点とも言える用水路のイワナ釣りをレポートします。
雰囲気のある用水路から釣りスタート
まずは用水路沿いの空きスペースに車を駐車し、こちらの苔がなんとも言えない雰囲気の用水路からエントリー。
画像からもお分かりになる通り、水深は30cmほどで透明度が高く、近づけば人の気配を察知されるレベル。
このような場合にはあえて、ズーム式で最大6m前後になる延べ竿を使用します。
人影を見せずに、ゆっくり竿だけを伸ばして、下流側からアプローチ。
第一投目、白波の出る中央の落ち込みサイドに仕掛けをゆっくり落とし込むも、アタリなし。
三投以内にアタリが出なければ、釣れる可能性は低い。
運命の二投目、2秒経過、かすかに手元に伝わるゴツゴツ。
まだアワセません。
ほどなくして、目印が横にすーっと移動。このタイミングでアワセます。
出ました!
上顎ガッチリ、良いフッキングの成功です。
サイズは大きくありませんが、お腹の黄色がなんともいえない可愛いイワナです。
細い流れでイワナが元気に生息しているか、1匹目が出るまでは不安でしたが、魚は元気でした。
この場所で釣れたイワナはこの1匹のみでしたが、実は同じ場所の違う落ち込みで、結構大きめのイワナが2匹確認できました。
釣れればさらにエキサイティングだったものの、気配を悟られ、中央の白波下にある岩の下に潜られてしまいました。
ときとして大胆なイワナも、こうなるとポイントを休ませて、再度狙うも釣れませんでした。
畑の横を流れる用水路に移動
次は、農家さんの畑のすぐ横を流れる用水路に移動。
画像ではわかりませんが、車の左側の藪の中に用水路があります。
至近距離なら、やっと落ち込みが見える感じです。
最初に釣行した用水路ではミミズを使用したのですが、こちらではぶどう虫に切り替えてみます。
付け方は、ちょん掛けでも良いのですが、透明度が高く、警戒されそうなので、しっかり針を隠す感じで、付けてみます。
運命の第一投目
釣れません。
そして、二投目、三投目と振り込みますが、完全にアタリがありません。
本来なら見切るタイミングですが、実は、魚がライズしている様子を見てしまったので、どうにも諦めきれません。
それならばと、立ち位置を用水路上流に。
そして、、目印が横にすーっ。
アワセを入れると、1匹目よりもサイズの大きなイワナが釣れました。
粘って粘ってようやく釣れました。
価値ある1匹。
無事に2匹目をキャッチすることができました。
このあと、よく観察すると、用水路内に目測35cmあろう大イワナが泳いでいました。
しかし残念ながらヒットに至らず。
徒歩で次の用水路に移動
畑に目をやりながら、徒歩で3番目の用水路に移動しました。
これまでの感じから、1匹釣ると場荒れしてしまうので、より一投目から集中して仕掛けを投入します。
一投目で、お馴染みのアタリがっ
今回は、一投目で釣れました。
こちらもとても美しいイワナです。
短時間釣行でしたが、なんとか3匹のイワナに出会うことができました。
なにより中学の頃通った用水路でイワナと再開でき、感慨深いものがあります。
今回使用したタックル&装備
今回、用水路のイワナ釣りで使用したタックルと装備を簡単にご説明します。
ロッドはDAIWA(ダイワ)翡翠 中硬硬 5.3-5.7-6.1mズーム式
使用したロッドは、ダイワから発売されている「翡翠」という渓流竿。
古くから人気があるロッドです。
今も後継モデルが発売されていますが、筆者が使用しているのは、かなり古いタイプ。
先調子の中硬硬という硬さで、本来開けた渓流域で活躍する柔らかめのロッドなので、用水路の釣りに向いているわけではありません。
源流竿がある方は、そちらが良いでしょう。
特に用水路の釣りでは、藪が生い茂っている場所が多く、耐久性のあるロッドが向いています。
また、用水路の状況によっては足場が高く、魚をかけたら一時的に抜き上げる場合もあります。
振り込みから抜き上げ、取り込みを考慮すると、「先調子」で張りのある「硬調」クラスのロッドがオススメ!
また、源流釣りでは4.5m前後の短めのロッドを使用することが多いですが、用水路の釣りでは5〜6mクラスが活躍することもあります。
特に今回のように、水深が浅く、魚に悟られやすいポイントでは、ポイントから離れて竿を伸ばし、仕掛けは極端に短くするアプローチが効果的。
このような釣りは、源流釣りでも応用できるのでぜひ試してみてください。
▼先調子で硬調クラスの源流竿がオススメ
フットウェアは日本野鳥の会「バードウォッチング長靴」
釣り人にも定評のある日本野鳥の会「バードウォッチング長靴」を使用しました。
ソフトな素材で折りたたみ式なので、持ち運びがしやすいですし、なによりデザインがおしゃれで愛用しています。
カラー展開も豊富なので、オススメです。
本格的な源流釣行などでは、ソール部分が濡れた石等に対応できず、滑りやすくおすすめできませんが、田んぼや畑のぬかるみには強いので、今回使用しました。
バッカンがあると一時的に魚を生かしておける
用水路の釣りでは、事前準備が大切で、まず最初にバッカンに水を汲んでおきます。
というのも、用水路の釣りではエリアが狭く、すぐにリリースすると場荒れしてしまいます。
なので、海釣りなどで利用するバッカンがあると、一時的に魚を生かしておけて便利。
また足場が高い用水路では、都度、用水路に降りて水を汲んでくるのは大変です。
そんなとき、紐付きのバッカンがあれば、魚を確保するための水汲みも楽にできます。
ラバーネット
今回の釣行でもそうなのですが、下に降りることができない用水路では釣りはしません。
あまりにも足場が高く、上り下りができない用水路で釣りをするのは何より危険ですし、魚をかけたとしても抜き上げるしか取り込む方法がなく、リリース時も上から落とす感じになってしまい、用水路だからこそ魚へダメージを与えてしまいます。
ですので、基本的にランディングはラバーネットで、用水路へ降りて行います。
持ち帰る前提の釣りなら、魚を抜き上げてキャッチすることもありますが、リリース前提なら用水路へ降りてネットインしています。
用水路というエリアだからこそ、魚にダメージを与えないように工夫しましょう。
用水路で釣りをする際の注意点
用水路といっても、大きさも形も様々です。
筆者が気をつけていることを記載したいと思います。
釣りをしても大丈夫か確認する
用水路の中には、発電施設があったり、足場が高いため安全面の配慮から立ち入り禁止の場所も存在します。
もちろんそのような場所で釣りをするのは絶対にやめてください。魚だけでなく、周りへの配慮も忘れないようにしましょう。
また、立ち入り禁止ではなくても、釣りをしても良いのか、事前に漁業協同組合の規定を確認するなども必要です。
遊魚券も購入する
用水路の場合、遊魚券が必要なのか?と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、筆者が釣行した用水路エリアを管轄する漁業協同組合の規定では、ヤマメやイワナなどの渓魚をはじめ、ウグイやオイカワなどの魚においても遊魚券が発行されています。
ですので、筆者の場合には、規定に基づき遊魚券(渓流魚用)を携帯した上で用水路で釣りをしています。
用水路だから遊魚券が必要ないということはなく、海面と比較して水産資源が減少しやすい内水面では、基本的には内水面漁業の役割として水産資源の保護という観点から、遊魚券を発行しています。
不安な場合には一度お問い合わせをしてから釣行することをおすすめしますが、基本的には組合で規定する資源保護の対象となるお魚を釣る場合には、場所を問わず遊魚券が必要という認識になるかと思います。
下へ降りられない用水路では釣りをしない
本文でも記載しましたが、釣り禁止でないとはいえ、下へ降りられない用水路で釣りをすると、足場が高く非常に危険です。
また、下へ降りられない用水路で魚をかけた場合、強引に抜き上げるしか方法がなく、魚へのダメージが心配されます。
そのほか、抜き上げて魚をキャッチした場合、手を水で濡らすことなく魚を触り、火傷を負わせるリスクも。
このような理由から、用水路で釣行する際は、釣行前に下へ降りられるのか確認しておきましょう。
車を駐車する際は地元住民の邪魔にならないように
用水路は、農業用や飲み水用など、生活と密接に関わっています。
それだけに今回の釣行のように、農家さんの畑のすぐ隣を流れる場合もあり、車を駐車する場所によっては農作業の邪魔になることも。
用水路は、地元の方の生活の一部であることを認識して、邪魔にならないように駐車をしたり、しっかりと挨拶をするなど、釣り人としてのマナーを守りましょう。
まとめ
今回は、用水路のイワナ釣りについて熱く語ってしまいました。
用水路という限られたエリアで釣りをすることは、非常にマニアックですが、とても面白い釣りです。
ぜひ、渓流の調子が悪いときなど、用水路に目を向けて釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
普段ならスルーしてしまう用水路に、思わぬ魚がいたりして、ドキドキハラハラしますよ。