毎年、12月〜3月の厳寒期は、多くの魚が産卵のために外洋に出てしまったり、冬を越すためにより水温の安定した深場に落ちてしまったりと、近場の河川や港湾部からターゲットとなる魚が居なくなってしまう時期でもあります。
釣れないとわかっているポイントで釣りをするのは諦めて、年末のボーナスを握りしめて年末年始のセール中の釣具店を回ったり、正月休みを利用して海外に遠征される方も少なくありません。
しかし、そんなターゲットの少ない厳寒期でも近くの河川や港湾部で、気軽に楽しめる魚がいることをご存知でしょうか?
もうお分かりですよね?
そう今回のターゲットは、厳寒期でも積極的にルアーを追ってくる大型魚「チヌ(クロダイ)」です。
チヌは365日24時間楽しめるオフシーズンが存在しないお魚。
この時期に最適なボトムチニングの攻略法を解説します!
ポイントの探し方や狙い方、おすすめルアーをご紹介しますので、これからチニングをスタートしたい方もぜひご覧ください。
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目次
チヌは365日24時間楽しめる最高のターゲット!
驚くべきことに、チヌには全く釣れなくなる時期は存在しません。
つまりシーズンオフがないのです。身近な河川や港湾部で1年中釣ることができる、とても貴重なターゲットといえます。
デイゲームやナイトゲームでも釣ることができ、ここまで付き合いの良いお魚は他にいないのではないかと思ってしまうほどです。
有名な”チヌトップ”は冬場完全にシーズンオフです(検証済み)
厳寒期の日中でもルアーで狙えるチヌですが、残念ながらトップウォータープラグには反応せず、いわゆる「チヌトップ」は楽しめません。
実際に、何度か12〜3月頃の厳寒期に検証したことがあるのですが、ハイシーズンだと3投に1投はバイトがあるほどの高ポイントで、潮回り等の条件も完璧であったとしても、たったの1バイトすら得ることができませんでした。
このような経験から、12月〜3月における厳寒期のチヌトップは、釣れない時期として認識しています。
ただ、3月も後半になってくると、天気や水温次第では普通にトップウォータープラグに反応してくるようになるので、天気が良かったり水温が高い日は、厳寒期であっても試してみる価値はあると思います。
▼チヌトップにおすすめのタックルやルアーはこちら!
ズバリ、冬場はボトムを狙うべし
チヌトップのみならず、厳寒期の河川や港湾部では、イワシなどベイト付きパターンも期待できないので、ジグヘッドリグや専用ラバージグを使ってのボトムゲームが基本となります。
ちなみに最盛期でもとてもよく釣れるボトムゲームですが、それもそのはず、チヌはボトムにいるカニやエビなどを主食としているため、ボトムゲームがチニングの中で最も自然な釣り方といえます。
実際、トップウォータープラグに反応しない厳寒期のチヌですが、たとえ同じポイントであっても、チヌ専用のラバージグなどでボトムを探るとあっさりと食ってくることも。
コンディション・数ともにハイシーズンを上回ることも
厳寒期の場合、チヌにとって、条件の整ったポイントが少ないのは事実です。
しかし言い換えれば、条件の整ったポイントには、エリア一帯のチヌが大量に溜まっていることも多く、移動することなく数釣りが楽しめることも。
また、チヌ(クロダイ)の産卵期である春に向けて食べ貯める時期でもあり、よく肥えたコンディションのいい個体が多いのも特徴です。
画像のように、卵が膨らみ始めて、お腹が張ったチヌが釣れることも多いです。
リリースの際は、たも網を使い丁寧にリリースしましょう。
抱卵個体のみならず、30㎝を超える個体はそこそこウエイトもあり、足場の高さによっては、リリース時の落水の衝撃が致命傷になることがあります。
可能な限りたも網を使って、優しくリリースしましょう。
有名ポイントの独り占めが可能
厳寒期にチヌを狙う大きなメリットとして、有名ポイントや好条件が揃ったポイントを独り占めできる場合も。
一般的にチヌのルアーゲームは夏季がハイシーズンのため、シーズンオフとされる厳寒期はライバルとなるアングラーがほとんどいません。
「入りたかったポイントに先に入られてしまった…」
という思いをしなくて済むのです。
近年はチニングの人気が加熱しており、ライバルアングラーの数も増えるばかりです。
そんな中で、入りたいポイントにほぼ確実に入ることができるというのは、厳寒期のチニングの大きなメリットに。
冬場のボトムチニング 、意識すべきことは?ハイシーズンとの違い
メリットの多い厳寒期のチニングですが、最盛期とは違った点も多く、最盛期と同じポイント、同じルアー、同じ誘い方だと全く釣れないなんてことも。
ここでは、最盛期と厳寒期の釣り方の違いや、厳寒期に意識すべきこと、厳寒期におすすめのポイントなどについて解説します。
冬場はポイント探しが重要
厳寒期にチヌを釣る場合は、ポイント探しで全てが決まるといっても過言ではありません。
先ほども触れた通り、条件の整ったエリアに魚が溜まりやすいのが厳寒期のチヌゲーム。
しかし、それは言い換えれば、条件の悪いポイントには全くチヌが居ないということ。
つまり、ポイント選択を誤れば、1匹も釣れなかったどころか、たった1バイトすらも得られなかった・・・ということにもなりかねません。
それでは、厳寒期にチヌが溜まりやすいポイントを探すには、何を意識して探せばいいのでしょうか?
水温の安定したディープエリア
水温が安定しやすいディープエリアは厳寒期の鉄板ポイント。
特に、強い北風が吹いた日や、暖かい上げ潮がさしてくる大きな潮の日は、特にディープエリアにチヌが集中しやすい傾向に。
全体的に水深の深い港湾部や河川も狙い目ですが、水深が浅めの河川に点在するディープエリアは、辺り一帯のチヌが集中していることが多く、特に狙い目のポイントです。
温排水
どこにでもあるものではありませんが、温排水が流れ出ているポイントを発見できれば、その下にチヌが溜まっている可能性が高いです。
また、温排水の排出される量が多ければ多いほど、その下だけではなく、そのエリア一帯に、チヌや、そのベイトとなる生物が集まっている可能性が高くなります。
ただ、温排水の排出元である工場の営業日や営業時間によって、排出されていないこともあります。
例えば、筆者の地元にある河川では、川沿いの工場が営業している間は温排水を排出しているものの、工場が閉まる夜間、週末、祝祭日などは完全に温排水の排出が止まってしまうようでした。
せっかく場所を特定できても、温排水が排出されていないと意味がないので注意しましょう。
シャローフラットエリア
「え?シャローフラットって、さっき言ってたディープエリアと真逆じゃん」
という話ですが、よく晴れて気温の高い日に一番最初に水温が上がるのはシャローフラットエリアです。
水温が上がると、もともとシャローエリアに多い、チヌの大好物であるカニやエビなどの甲殻類がたくさん姿を見せ、チヌも自然とシャローエリアに集まってきます。
特に、少し水が淀んでいるエリアや、潮回りが小さい日は、日が暮れても日中温まった水が流されずに停滞するので、夜間もそのままチヌが居座ります。
近所で厳寒期に釣れるポイントが思いつかないときは…
「色々説明してくれたけど、近所の河川で思い当たるポイントがない…」といった場合もあるかと思います。
そんなときは、最盛期にめちゃくちゃ釣れる1級ポイントへ行って竿を出して見ましょう。
もちろん釣れないこともありますが、意外と普通に釣れることもあるので、竿を出してみる価値は大いにあります。
地元釣具店の情報をチェックしてみましょう
他にも、厳寒期のチヌゲームの経験がなく、ポイント選定に迷っている場合は、地元釣具店の情報を覗いてみるのも1つの手です。
ルアーでの釣果はほぼ出回っていませんが、エサ釣りでの釣果は出回っている可能性が高いです。
ある程度、チヌが釣れているエリアが特定できれば、周辺で先ほど紹介したようなルアー釣りにあった条件のポイントを探せばOK。
エサで釣れているチヌが絶対にルアーにも反応してくるとは言えませんが、そのエリアにチヌがいるという確信が得られるので、釣れない時間のモチベーションが大きく変わってきます。
潮回りも意識すべきです
潮回りによってよく釣れるポイントは変わるので、しっかりと意識すべきです。
例えば、”大潮の上げ”などは、海からの暖かい潮が上がってくるタイミングなので、チヌの活性が上がりやすいタイミング。
特に河川内では、淡水に比べて比重の重い海水がボトムを流れるため、ボトムにいるチヌの活性が上がり易くなります。
ただ必ずしも大きい潮回りがいいとは言い切れず、先ほど触れたように、シャローエリアを狙う場合は、気温が高く、天気も良く、潮があまり動かない日がベストです。
なぜなら、せっかくシャローエリアの水が温まったとしても、潮が大きいと温まった水がすぐ循環してしまうので、シャローエリアにチヌが集まりにくい状況に。
釣れるとはいえ、ハイシーズンに比べて活性は低いと考えましょう
厳寒期でもルアーを追ってくるチヌですが、最盛期に比べると活性は低め。
例えば、ハイシーズンであれば、同じチヌがルアーに何度も何度もバイトしてくることも多いですし、ひったくるような強いバイトが出たり、ルアーを丸飲みされることも少なくありません。
しかし、水温の低い厳寒期ではチヌの動きも鈍っており、アタリが1回出ただけで針に掛からなかったり、フグについばまれているような小さなアタリが出ることも。
また、小さいアタリをなんとか掛けてもくちびるの皮一枚に掛かっていたり、ひどい時は、口の外側に掛かっていることもあります。
ゆっくりと誘うことを心掛けましょう
最盛期にチニングをしていると、ルアーを何メートルも追いかけ、何度も何度もアタックしてくるアグレッシブなチヌを良く見ますが、残念ながら厳寒期のチヌはそれほどアグレッシブではありません。
目の前をルアーが通らないと追わない個体も多く、ルアーを追うスピードもゆっくりなことが多いです。
なので、チヌが追う気になる程度、チヌが追いつける程度にゆっくり誘うよう心がけましょう。
アタリが1回あって終わり、ということが続くのであれば、少し速く動かし過ぎている証拠。
ボトムチニング におすすめのルアー
基本的に使うルアーは、いつもチヌのボトムゲームに使っているものでOK。
ボトムチニングにはジグヘッドリグがおすすめ
厳寒期に使うルアーですが、筆者のおすすめは、メバル用のジグヘッドにバス用のシュリンプ系ルアーを用いたジグヘッドリグ。
ラバージグ系に比べてフッキング率が高く、バラシの確率が少なくなるのがジグヘッドリグを使用する理由です。
また、ラバージグ系の専用ルアーに比べて、価格が安く、根掛かりをしてルアーをロストしたり、チヌによって針が曲げられたりしてもダメージが少ないのも大きな理由。
ちなみに筆者が使用しているのはこの尺ヘッド(ジャズ)と2.4inchシュリンプ(ゲイリーヤマモト)の組み合わせです。
バイトがどうしても浅いときや、なぜか画像のような小型のチヌが多いとき(厳寒期は型揃いなことが多いです)は必要に応じてワームをカットして使うとフッキング率が増します。
とはいえ、特に夜間の場合、ある程度のアピール力も必要なので、基本はこのまま使用すればOK。
ルアーは軽めを使用しましょう
先程も触れた通り、最盛期に比べてルアーを吸い込む力が弱く、バイトが弱いことが多い厳寒期のチヌ。
なので、飛距離や狙いの水深などを考慮して、少しでもチヌが吸い込みやすいよう、可能な限り軽いルアーを使いましょう。
筆者は水深に合わせて、0.9g〜1.5gのジグヘッドを主に使用しています。
これぐらい軽いと、軽い吸い込みでもしっかりと口の中にジグヘッドが入るらしく、フッキング率が大幅に上昇します。
ちなみにジグヘッドは軽いほどフッキング率が良いです。
筆者は時々、0.6gのアジング用ジグヘッドを投入するのですが、出たアタリはほとんどフッキングに持ち込めます。
針が弱いので、掛けてからが大変ですが…
もちろん、これほどの軽量ジグヘッドを使うのに、シーバスタックルやエギングタックルでは少し強すぎて、アタリが取り辛かったり、ルアーが操作し辛かったり、フッキングしてもフック伸びの可能性が上がってしまいます。
こちらで紹介している尺ヘッドは太軸フックを用いており、かなり丈夫ですが、メバルタックルなどライトタックルを使用するのがベスト。
厳寒期はカラー選択も重要!ナチュラル系が吉
ボトムチニングにおいて、カラーはなんでも釣れるので適当に購入すればOKです。
というのが正直なところなのですが、厳寒期はハイシーズンに比べるとチヌもかなり落ち着いており、結構ルアーを見ていると感じます。
また、厳寒期は水質が良く、視界も良好のため、ルアーが見破られてしまうことも。
基本的にはいわゆるナチュラル系、地味なカラーを選択するのがおすすめ。
反対に、ショッキングピンクや、真っ白など、明らかに自然界に存在しないようなカラーの選択は避けましょう。特に日中にこのようなカラーを使っていてはさすがにバイト数が大幅に減ってしまいます。
筆者が使用しているボトムチニングにおすすめのタックル
参考程度に、筆者が使用しているタックルを記載しておきます。
Huerco(フエルコ) XT511-5S
パックロッドメーカー「Huerco(フエルコ)」がリリースしている5ピースロッドです!
使用しないときはコンパクトにまとまるので、ランガンするときや、車や電車、飛行機での移動を伴うトラベルロッドとして大変重宝します。
XT511-5Sは、ライトゲーム用に開発されており、この一本でトラウト・パーチ・バス・チヌ・メッキ・根魚とフィールド問わず楽しめます。
▼Huerco XT511-5Sの使用感はこちら
SHIMANO(シマノ)ツインパワー C2000S
合わせるリールはダイワ、シマノともに2000番前後のものであればOK!
もしこれから購入するのであれば、細いラインを使うことが多い釣りなので、下巻きが不要な浅溝スプールを搭載したリールを購入するのがおすすめ。
▼筆者が愛用しているシマノ ツインパワーC2000S
▼20ツインパワーも気になるところ
ラインはPE0.6号
ボトムチニングに使用するラインは、PE0.6号をメインにしています。
あまり細くしてしまうと、歯が非常にするどいチヌではラインブレイクになる可能性が高いです。
まとめ
近場でルアーで釣れるターゲットなんてほとんどいない厳寒期。
そんな中でも、チヌは我々アングラーと遊んでくれる貴重な存在です。
しかも少し釣れる程度ではなく、記事内でも述べたとおり、チヌの溜まっている場所を発見できれば、爆釣も夢ではありません。
ただ、冬場はチヌ(クロダイ)にとって、春の産卵に向けて体力を温存しなければいけない大事な時期。
釣れたチヌは、いつも以上に丁寧に扱うことを意識して、釣りを楽しみましょう。
▼チヌトップにおすすめのタックルやルアーはこちら!
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